「試合に臨むたびに私は死ぬことさえ覚悟している。もしその試合で死なねばならないのなら、それは私にとって死ぬべき日なのだ。いい死に時なんだよ。そういうことが私の中ではすでに当たり前のことになっている。だがミスターフナキにとってはそういうのは当たり前のことではなかったのかもしれない。そうだとすれば死への恐怖は彼の心の中で大きなものに膨らみ、ネガティブに作用しただろう(中略)勝利と敗北は紙一重のところにあるということだ。今回私は勝ったが心の中でどうなっていたら負けていたかを考えるし、次の試合でどうなったら負けるかということを考えている。だから勝利の瞬間とは非常に短い時間だと思う。私は多くの時間をどんなふうになったら負けるかと考えながら過ごすんだ。そのことが私を強くする。それによって負けないためには自分が何をなさねばならないかがわかるから。(中略)敗北か勝利かということばかりにあまり注意を払わないでほしい。大切なのは自分が置かれた状況でベストを尽くすことだ。それができれば誰もが素晴らしい人間になれる。(中略)私たちは敗北も成長する機会だと捉えなくてはならない。(中略)私は勝利の瞬間にも敗者として考えている。逆に負けたときには勝者として考えるべきだ。たとえ負け続けても「こういうやり方もある、ああいうやり方もある」といろいろと試してみることだ。心が諦めてしまってはダメなんだ」〜船木戦後のヒクソングレイシーインタビューより抜粋〜