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【変換対処能力】


「人間もまた生存を全うするために廃棄エネルギーを利用しようと努めてきた。


最初の重大な技術的発明、火の利用はその好例である。最初、火はランダムに発生した。火山、稲妻そして自然発火があちこちの燃料に火をつけ、分解した木材のエネルギーは利用されることなく拡散した。


火を統制することを知った時、人々は分散しようとするエネルギーを彼らの洞穴を暖め食物を料理するのに用い、とうとう金属を精錬し物を造ることに利用するようになった。


蒸気や電気、ガソリン、そして核融合で働くエンジンもまた同じ原理、つまりそのままでは失われたり我々の生存に有害であったりするエネルギーを利用するという原理に基づいている。


無秩序な力を何か利用できるものに変換するさまざまなトリックを知ることなしには、我々はこれほどうまく生き残ることはできなかっただろう」


「心の働きも同じ原理に従っている。自己の統合は中立的または破壊的なことがらを受けとめ、それな育定的なものに変える能力にかかっている。


職場をクビになることも、何かほかの自分の願望により合致したものを見つける機会として利用するならば、それは天の恵みというものである。


人の生活で、ただ良いことだけが起こるという幸運はきわめてまれである。


願望が常に満たされるという見込みは無に等しい。遅かれ早かれ、だれもが失望、重病、経済的逆境、結局は避けることのできない死など、生きていくうえでの目標に反することに直面せねばならない。


これらのできごとは心に無秩序を引き起こす否定的なフィードバックである。それぞれが自己を脅かし、その働きを傷つける。心理的外傷が十分大きければ、人は必要な目標に注意を集中する能力を失うだろう。そうなれば自己はもはや統制できない。


傷がきわめて重大であれば意識は無秩序化し、人は「正気を失い」さまざまな精神病の症状が勢いを得る。それほど重症でない場合でも脅迫された自己は生き延びるが成長をやめ、攻撃の前に萎縮して強い防衛へと後退し、たえまない猜疑の状態におかれ、無気力化する。


勇気、立ち直る力、我慢強さ、分別ある防御、つまり変換対処、「心の散造構造」が基本的に重要なのはこの理由による。


これらなしには、我々は迷走する心の隕石の無差別な攻撃にたえず悩まされるだろう。


他方、このような積極的な戦略を発達させるなら、ほとんどの否定的なできごとは少なくとも中和され、さらに自己を強化し複雑化するのに役立つ挑戦として利用することさえできるだろう」(by M.チクセントミハイ)