武藤敬司が引退。最後の相手は内藤。
プロレスはいわゆる競技スポーツではない。エンターテイメントであり、プロレスラーは役者に近い。
膝に故障をかかえる武藤はさすがに動けない。それを間や表情で補い、東京ドーム満員の観衆に物語を伝えてゆく。千両役者である。
一方の内藤。武藤が最後の相手に指名したのもよくわかる。
唐突だが、競技スポーツの中にバトミントンがある。似た動作の日本文化に羽子板がある。バトミントンが打ち返せないように攻撃するのに対し、羽子板は相手とのラリーを楽しむ。
プロレスとはバトミントンでなく羽子板と考える。動けない武藤を内藤がフォロー。満足に打ち返せず取りにくい武藤の羽根を見事に拾いまくる。オチをちゃんと作った。
試合後、内藤にマイクも持たせず退場させ、なんとなくあっさりした武藤。らしいといえばらしいが、
「まだ完全燃焼していない」。解説席の蝶野に対し「俺と戦えー!!!」
アピールを受け、ヘッドセットを外す蝶野。ヘッドセットを外しただけで大歓声。蝶野も千両役者だ!
レフリーは観戦に来ていたタイガー服部に無茶振り。
蝶野も杖をついて入場するほど脚を痛めている。自ら気合を込めるように雄叫び。
両者動けないプロレスを初めてみた。それでも大歓声のドーム。ロックアップ→ケンカキック→STF。2分足らずのフィニッシュ。
武藤にとって蝶野こそが真の引退試合だったのではないか。これだけではドームメインが務まらないので露払い的に内藤を使い、内藤も大功労者への敬意として武藤の提案を甘んじて受け入れた。
そんな印象。
古舘伊知郎の名調子はプロレスでこそ生きる。
あっぱれプロレス、たかがプロレス、されどプロレス。
エンターテイメントを堪能した。ありがとう!!!
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