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「民主制度の国では、国民はその自由を守るために闘わなくてはならない。そうでなくては独立を保つことは諦めるしかない。アメリカに頼るのは核兵器の抑止だけで、それ以外の国防は、すべて自分たちでやるべきなのだ」


国防に関するルトワック教授の指摘はいつも正鵠を得ていると思う。


さて、以下は武術格闘技的に参考になる見解。

「パワフルな新兵器を作ると、しばらくは「向かうところ敵のない楽しい日々」がやってくる。しかし、それがパワフルであればあるほど、相手側も必死で対抗策を研究する。もちろん、対抗する新兵器をあっという間に作るということはできないので、まずは戦術レベルや作戦レベルでの対抗措置から始め、しばらくすると、技術レベルでの対抗措置を開発するようになる」

ブラジリアン柔術は着用のキモノを攻防に使用できる。その分、裸体の格闘技より選択肢が増える。日々新しい攻撃や防御法が研究、開発されている。

いわゆるモダンと呼ばれる技法が登場して10年を超える。すでにそれらも通常の技術として定着し、攻略法もある。

「導入→優位→対抗というプロセスを経て、新しい兵器は、効力の「限界点」を迎える。そこから先は下り坂であり、戦闘の結果を変える力を持たなくなるのだ」

新たな攻防を発信しているのはもっぱらブラジルやアメリカである。

「軍事技術において重要なのは、実は独創性ではない。新技術を開発し、実際に使用するまでに10年もかかるのでは意味がないからだ。なぜなら、その10年のうちに、テクノロジーは新しい段階に進んでしまっているのである。重要なのは、いま目の前にある技術を、戦略的に使うことだ。すでに存在する技術を画期的に使用することこそ、軍事テクノロジーの要諦といえる」

現在、世界のトップ戦線で戦える日本人は数少ない。「すでに存在する技術を画期的に使用する」このような工夫こそ、ブレイクスルーのヒントがあるかもしれない。

ラストエンペラー習近平 (文春新書)
エドワード・ルトワック
2021-07-19