人間は重力に対してバランスを取って姿勢を維持している。
姿勢に外から力が加わると、押されればその分押し返し、引かれればその分を引き返したりしてバランスを取る。
これらは基本的に無意識で行われる。
このようなリアクションを利用してコントロールするのが武術格闘技の醍醐味の一つである。
推手葛西先生のセミナーでも、この原則の上でいかに崩すかに重点がおかれていた。
姿勢を崩すには武術格闘技によって様々な方法がある。
葛西先生の崩しは相手に悟られないようにするのが特徴的。
具体的な技法の紹介は控えるが、まずは力ませて居付かせる。これを「つなぐ」と表現する。それから別の方向へ力を加えて崩す。途中で相手が変化してきた場合は、それに応じて力の方向を変えて、さらに追い込んでいく。
動画はセミナーのものではないが、このような感じとなる。
もちろん、悟らせないように崩すので一見しただけでは、わかりにくいだろう。
この「つなぐ」のが絶妙なさじ加減であり、やたら力を強く加えたり、弱すぎたり、途中で途切れたりしても崩すことができない。
上手く「つなぐ」ことができないと力の角度を変えても追い込めない。
その感覚を身につけるためにいくつもの練功を教えていただいた。
悟らせない崩しといえば、I師匠の崩しにも共通している。ただし、加える力の質、その運用は異なるように感じた。
先日のカイオ・テハといい、技術はどこまでも深いなー、とあらためて実感した次第。
葛西先生は詠春拳、八極拳、太極拳を修められ、現在は推手の普及活動をされている。将来は推手を入り口に打突や武器などを使った自由攻防にも発展させるお考えのようだ。元刑事でもあり、いわゆる実戦経験も豊富。武術界には珍しい(?)手合わせしていただける先生なので、これからの活躍が楽しみだ。
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