0536fb71.jpg「飛行機の操縦とは過ちを犯さないことだとはっきり認識した。すべてをコントロールし続けなければならない。鳥や木、雲や電線にいたるまで注意を怠らず、その間もコックピット内のすべてに気を配り、決して警戒を緩めてはならないのだ。そして同じくらい重要なのが、飛行機ができることできないことを理解していることだ。たった一つの単純なミスが死につながることもある」

離陸直後、事故により両翼のエンジン停止。高度、速度から導かれた墜落までの時間はわずか2分30秒。引き返すことも、もよりの空港にも間に合わないと判断した機長の決断はニューヨークハドソン川への不時着、そして成功させ、乗客すべての命を救った。

先日TVで管制官との生のやり取りを紹介していたが、機長の「ハドソン川に不時着する」の通信に管制官が二度聞き返していたのが印象的。

水面への不時着はパイロットのカリキュラムにシミュレーションがあるそうだが、現実の操作を経験することはほぼ皆無。

機長の一瞬の判断と集中に「サムライ」を感じた。


読了後追記:危機に際し、どう対処するか。
事前に周到に準備し、備える。そして優先順位を遵守し、冷静に対処する。
事故などの失敗があれば、徹底的に検証し、学ぶ。それが事故で犠牲になった者への最大の餞となる。

戦闘機には脱出装置があるが、パイロットが逃げ遅れるケースもあるという。それは事故の原因が自身の操作ミスにある場合で、墜落ギリギリまで回避しようと粘って逃げ遅れてしまう。原因が単純な機械の不具合ならパイロットは早々と脱出を図っている。

危機管理は長期的には楽観的でありながらも、短期的には悲観的であり、希望的観測をしてはならず、なんとかなるさと思いつつも現実的であるべき。

旅客機墜落の命を落とすかもしれない状況にありながら、沈着冷静な判断、対処は長年に渡る周到な準備こそがなしえた「技」だった。元空軍パイロットの著者の言葉は重みがある。

「グレイシー柔術はパニックに陥らない技術」(byホリオン・グレイシー)

危機管理は現在の「武士道」かもしれません。

「兵士たちが戦うのは政治家や政治的な理念のためではなく、隣にいる仲間のためだという。仲間を失望させるくらいなら、むしろ死を選ぶ」

「本物」が書いた本。オススメです。

「生きて飛びつづける我々の安全は誰かが命を落とした状況を理解し、彼らが遺してくれた貴重な教訓を一種の遺産として我がものにすることにかかっている」

最後に。遠く異国の地で犠牲者となった方々に哀悼の意を捧げます。


機長、究極の決断 (静山社文庫)

機長、究極の決断 (静山社文庫)


著 者:C・サレンバーガー
販売元:静山社
発売日:2011-01-06