533d5bc2.jpgダニエル・クレイグ版ボンドはそれまでのスーパーマン的路線を脱却し、リアリティーと人間味あるボンドとして再生した。私も大ファンの一人。

本作はさらにドラマを強調して、アクションを抑えた内容。そのせいなのかテンポがスローでしっとりとした仕上がり。

クレイグ版からアカデミー賞を視野に入れているという007。今年はボンド生誕50周年だけにアカデミー受賞監督を起用し勝負をかけた野心作とも受け取れるが、どうもこのスロー過ぎるテンポがシリーズ全体に流れるエンターテイメント性と噛み合ってないように思う。

悪い映画ではない。ダニエル・クレイグはカッコイイし、なんといっても悪役ハビエル・バルデムの演技は必見で存在感でボンドすら圧倒している。長崎軍艦島をモチーフとしたアジトもcool。

でもさ〜、なんかスッとしないんだよね〜。

ロックで盛り上がりたいのにずーっとバラードを聴かされたような気分。


追記:クレイグ版ボンドの大ファンの私は、この消化不良がどうにも納得いかなくて、すかさずリピート。
思い入れ100%ではなく、いったん空気を入れて冷静になって、そしてニュートラルな気持ちで観賞。すると新たなボンド像が浮かび上がってきた。

今回のボンドはスネる、クサる。

「こんな家、嫌いだ」

より生身な人物として描かれている。その理由は物語の進行と共にボンド出生の謎まで遡る。
これは従来のシリーズとあきらかに違う、クレイグ版前二作とも違う。
そう、ニュースタイルボンド、主役がボンドの社会派アクション映画なんだ。
なるほど納得!評価が180度変わった(笑)。

料理に例えるなら初見は焼肉を期待して拍子抜けしたが、これは懐石料理だった。それも上質の♪

うん、いい映画だ!

ハビエル・バルデムはアカデミー助演男優賞に絡むのではなかろうか。この方、殺人鬼からラブストーリーの優男まで役を熟す。素晴らしい演技力ですね〜。


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