27b44196.jpg早打ちガンマンの対決は相手の反応を見てから撃った方が早いという実験結果があるそうだ。自ら「撃とう」と思って抜くより、相手の反応を「見て」抜く方が早い。

「don't think feel」(byブルース・リー)

(頭で)考えるより(身体で)感じる方が反応が早い。この場合、反射といった方がしっくりする。

例えば車を運転中に人が飛び出して急ブレーキを踏むのは身体の(無意識の)反射であり、頭脳はそれをわずかに遅れて把握し「人が飛び出してきたのでブレーキを踏んだ」と記憶を遡って補正する。

それは身体が勝手にブレーキを踏んでるような感覚。ハンドル操作も同様でまっすぐ走っていてもわずかにハンドルを右に左に微調整しているが、その腕の動きも勝手に動いている感じ。自動的といいかえることもできる。

一流の選手や技術者には「意識の変容」が起こるとされる。

私は過去に何度か奇妙な体験をしている。周囲がストップモーションのように見えた(感じた)のだ。これらはすべて生命の危機的状況で起こっていて、後に自ら意識的にストップモーションを起こそうとしてもまったくできない。

武術には「先の先」とか「後の先」という術理があるが、これは実際の動作ではなく意識の先手を取ること。(ちなみに私は「先の先」をちょっぴり理解できる低レベル(^^;。術理として優れる「後の先」はできない。)

空手宇城師範は「後の先」に捉えた時、相手がストップモーションのように見えるという。

ストップモーションを意識的に起こせる人もいるのだ。

これらの謎を解くヒントになりそうな一冊。


読後追記:かなり論理に飛躍のある内容と感じた。
1、著者のベースとしている術理が大東流佐川師範の「合気」かどうかわからない。
1、術理施行のため取りが脳の状態(思考停止等)を変化させると、受けの脳の状態も変化するとあるが、なぜそうなるのか因果関係が明確にされていない。


収穫はあった。私が体験したストップモーションはスポーツ選手に時折起こる「ゾーン」と呼ばれる現象のようだ。「ゾーン」とは生命の危機に際して「脳幹網様体が活性化」し、生命維持に必要な感覚情報を抽出、その他を遮断することにより引き起こされるもの。
たしかに思い起こせばストップモーション時の映像の記憶は鮮明に残っているものの、その他の五感、中でも音に関する情報はまったく記憶がない。音は聞こえていなかったと思う。このうち二度は大きな自動車事故だったにかかわらず。

著者はゾーンでのストップモーションと武術に起こるストップモーションは別としている。
理由として武術のストップモーションはいつでも再現できるのに対し、ゾーンは自ら引き起こせない。そして脳の使っている部分が違う。

私は二種類のストップモーションを同じだと推測していたが、これで振り出しに戻った。
武術のストップモーションを著者は再現できないが、空手宇城師範が術理として再現できるのは事実である。



脳と刀―精神物理学から見た剣術極意と合気

脳と刀―精神物理学から見た剣術極意と合気


著 者:保江 邦夫


販売元:海鳴社

発売日:2009-11


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